印刷データの最適化にAIを活用している具体事例のご紹介
プリントエクスプレスでは、お客様からお預かりしたデータの最適化にAI技術を積極的に取り入れています。5年から10年前と比較すると、AIの進歩は目覚ましく、お客様により大きな価値をお届けできるようになりました。
具体的に、私(中村)がどのようにAIを活用してお客様のデータを最適化しているのか、使用頻度の高い順にご紹介します。
1. 塗り足しの高度な補填
ネット印刷において、お客様のデータを印刷可能な状態にするために最も重要な作業の一つが塗り足しの処理です。AI導入以前は、
- デザインに影響が少ない場合は拡大する
- データの端が単色または同系統の色の場合は、背景に同色または近い色の単色を配置する
といった方法で対応していました。
AIの進歩により、現在は
- Photoshopの「コンテンツに応じた塗りつぶし」で、より自然で高度な補填が可能
- 状況によっては「生成塗りつぶし」も利用
が可能となりました。「生成塗りつぶし」は、切り落とされることが前提の補填には過剰品質な場合もありますが、縦横比が適切でないデータの場合には絶大な効果を発揮します(もちろん、お客様にご確認いただいた上で印刷工程に進みます)。
2. 解像度の低いデータの劣化を抑えた拡大
これはAI進化による最大の恩恵の一つと言えるかもしれません。弊社では、iPhone/iPadからのご入稿も受け付けております。PDF変換が難しいお客様が画像ファイルのみをアップロードされるケースもございますが、AI技術を活用することで、必要な解像度を満たしたデータに変換できるようになりました。Photoshopの機能も優れていますが、プリントエクスプレスでは、さらに精緻な拡大が可能な別のサービスを利用しています。
3. ラスタライズされたデータの修正
以前は、画像ファイルなどのラスタライズされたデータの修正は、お客様にデータを再入稿していただく必要がありました。しかし、PhotoshopのAI機能を使えば、背景と一体化しているような不要なオブジェクトでも、取り除くことが可能です。
- ラスタライズ化されたフォント情報も、AIでフォントの種類を特定できます。
- お客様のご要望があれば、ラスタライズされたデータ上の文字情報を書き換えることさえ可能です。
4. 高度なお問い合わせへのAIを活用した適切な回答
以前は、専門的なお問い合わせに対して、誤った回答をしてしまうとお客様の信頼を損ねかねないという懸念がありました。しかし、AIにデータの参照元をAdobeの公式ドメインなどに限定させることで、正確な情報を得ることができます。さらに、その情報をリライトして、お客様に分かりやすくお伝えすることも可能です。これにより、お客様の信頼を得られるだけでなく、私自身の知識も加速度的に増え、その恩恵は計り知れません。
まとめ
このように、ネット印刷会社はAIを活用することで、お客様の再入稿の手間を減らし、不完全なデータを高度な仕上がりにすることが可能になりました。また、技術的な問題の解決策を容易に得られるようになったため、お客様とともに、弊社も知識と経験の蓄積を加速させることができています。
今後もプリントエクスプレスは、AIの恩恵を最大限に活用しつつ、お客様の満足度を継続的に高めていく所存です。