極めて実用的な画像に関する新技術が発表されました。
AI(人工知能)を利用して低解像度のデータを16倍の高解像度に10秒程度で変換できるツールです。既に利用できるらしく、しかもお試しとして現在は無料で利用できるプランもあります。
様々なお客さまからデータをお預かりして印刷するネット印刷業界(印刷通販業界)にて「入稿されるデータが低解像度」であるというのは、かなり煩雑にあるデータ不備です。モニター上で綺麗に見えていても印刷したら粗く仕上がってしまうという問題です。
4K等の高解像度モニタも浸透しつつある現状、以前ほど決定的に違うことは減る傾向にあるとはいえ、2019年現在、9割以上のモニターが72ppiから96ppiの解像度がデフォルトです。一方、印刷に必要な解像度は300ppi以上です。日本では350ppiが推奨されています。モニターが求める数値と印刷物が求める数値では3倍の差がありますので、仕上がった印刷物がモニター上の印象と異なって粗い仕上がりになってしまうという問題を常に内包しています。
最近ではスマートフォンで撮影した画像でさえ画素数が巨大ですので、Web上の画像をダウンロードして原寸で配置しないのであれば、低解像度データ問題の発生頻度は以前と比べると減少傾向にあります。
このサービスの用途として、印刷会社的には「あからさまに低画素」のデータより「微妙に解像度が足りない」データを美しくしてお客さまの満足度を上げる方向に使えそうです。微妙な解像度の画像を不備扱いするかどうかは常に悩みのタネなのです。
お客さまのデータ作成においてなら「この写真を使いたいのだけれども、解像度が足りないデータしかない」というシチュエーションで、入稿データを綺麗にする用途で絶大な力を発揮しそうです。
この新サービスはスタートアップ企業のコンテンツですが、将来的にPhotoshopにも同様の機能が搭載されることは、現在AI機能の強化を進めているAdobe社の方向性からすると間違いなさそうです。
印刷の世界にもAIの影響が確実に及びつつあります。もっと驚くような新テクノロジーが印刷業界に多大な影響を及ぼす可能性も大いにあります。我々も心してかからなければなりません。
追記:2020年2月17日
上記で紹介したサービスと比較して、さらに高度な技術も開発されているそうです。Adobeが買収するとしたら、こちらの会社かもしれません。異次元の補正力です。