ネット印刷・印刷通販に地域性は必要ない。弊社は神戸に拠点があるが、工場は大阪にある。お客さまは沖縄から北海道まで全国にいらっしゃる。
では地縁がビジネスに関係ないのかといえば、そうではなく地縁故にご愛顧いただいている顧客も多い。特に電話でコミュニケーションをとる必要性があるお客さまにとっては地域性が関係あるようだ。ビジネスではフラットな標準語を使うように心がけている。それでも細かいイントネーション等で親近感を持たれるのかもしれない。
ポスティングはどうしても地元で撒く頻度が増えるので、その縁で取引が始まることも多い。市外局番が078だと問い合わせに対する心理障壁が若干下がる効果もありそうだ。
神戸は最近人口で福岡に抜かれて6大都市から陥落した。とはいえ全国で7番目に大きな都市であり、周辺の明石や芦屋・西宮も含めると日本有数の都市圏であることに違いはない。
神戸にも地場の印刷会社はたくさんある。(あったというべきか)しかし他の地方都市によくある「地元の名士」的な中堅印刷会社の気配がない。私は昔大手印刷会社の神戸営業所で勤務していたが、競合となるような営業力の高い同業他社はなかった。
関西という首都圏からすると周辺都市圏のさらに周辺に位置する神戸には出版印刷のニーズは少ない。一方大阪という第二位の都市に近いから、商業印刷の諸ニーズは、大阪に本社を構えていたり、一番大きな支社を構えている大手・準大手の営業マンのターゲットになりやすい。最大手二社は当然それなりの規模の神戸営業所を設置しており、神戸地場の印刷会社が大きく飛躍する条件が揃っていなかったともいえる。
ネット印刷・印刷通販の大手企業は歴史的に京滋地方に本社を構えている。3番手以降はやはり東京が多い。全国に工場と営業拠点をもつ大手ネット印刷会社もなぜか神戸には拠点がない。これは大阪と距離的に近すぎるという事情が大きい。ネット印刷業界の規模が全社あわせても年商1,000億ないので、神戸まで手が回らないのだろう。
そういった環境において神戸に拠点をもつ弊社の役割はあるはずだ。しかしネット商売である以上、あまり地域性を前面に押し出してもメリットは少ないし、弊社が神戸にあるからといって特別にはかれる便宜もない。とはいえ少しは神戸という一般的には好印象をもたれる都市のブランドイメージを利用したい意欲はある。営業的にはネット外でのマンパワー的な競合他社の営業力が及んでいないという利点をもっと有効活用すべきだという視点はあってしかるべきだ。そのあたりが弊社の今後の課題である。